「音のない呼吸」

「音のない呼吸」

静寂の時が ゆっくりと近づく。

静寂が、無音の世界を産み、
その世界は、音を知る者にとって、光の届かぬ深海の底。
自身の呼吸音すら聞こえぬ場所、

恐怖は根の深い混乱を生み、
胸の奥で、焦りと息苦しさが絡み合う。

何も考えず、
何も感じず、
ただ呼吸だけを頼りに、
この瞬間をやり過ごす。

道のりはまだ遠く、
目を開ければ、
現実という鎖で縛られた身体が動かせないことに気付き、気が違うほど追い詰められる。

だから私は目を閉じる。
思考を眠らせ、心を無にする。
まるで深い眠りの底で、
時間さえも忘れていくように。

(p.s.チョロチョロと聞こえて当たり前の水の音。この音が聞こえることでどれだけの癒しをもらっていたのか。今はもう聞こえない。)

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