紫陽花の散る頃に

紫陽花の散る頃に

夏の烈しき陽に、心までも焼かれそうな日々。
涼を求めて、紫陽花が色を落とす頃ならばと、そっと外へ足を運んだ。
だが、その目論見はあっけなく裏切られた。
灼熱の陽射しは容赦なく降り注ぎ、
肌は瞬く間に汗に濡れ、呼吸すら熱を帯びる。

あまりの暑さに、涙か汗か、頬を伝うものすら判然できず。
ふと道端に目をやれば、かつて涼やかに咲き誇っていた紫陽花も、
もはやその色を保つ気力をなくし、
ただ黙して、茎の上に項垂れていた。

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