陽炎の抱擁

陽炎の抱擁

暑さと湿気に侵されながらも、 あらがうことなく、ただ身を委ねる。
やがて、焦燥を孕んだこの重苦しい空気も 時の流れにほどけていくだろう。
そしてきっと、何もなかったかのように いつもの風が また頬を撫でていく……
そう思えば、少しだけ呼吸がしやすくなる。 ほんの少し、心がまだ、ここにいてもいい気がした。